トラベルアドバイザーと旅マエ・旅ナカを考える

旅行会社スタッフが、誰でも旅行を楽しめるよう、困ったことが起きたときにどうしたらよいか、お得な旅行にするヒント、旅行体験記など書いています。

旅行会社をテーマにしたドラマ『あぽやん~走る国際空港』を見て

先日紹介したHuluの無料トライアルを利用してすっかりテレビっ子?になったたびおどりです。

ブログの更新したいなと思いつつも、新型コロナウイルスの収束が見通せず、今まで通りの旅行に関する紹介をしても役に立てることが無いのでは?ともやもやしながら、何か他に皆様に紹介できる物がないかと日々考えていました。

 

そんな時に旅行代理店をテーマとしたテレビドラマ『あぽやん~走る国際空港』(2013年TBSにて放送)をHuluで見かけたので、まず1話のみ見てみました。

 

第一話を見終えて、「旅行会社の人間の悩みや想いがうまく作り込まれているな」と思い、もし旅行会社に興味がある人や、旅行の雰囲気を感じたい人、空港や航空会社(特にJAL)が好きな方は是非一度ご覧になっていただきたいと思います。

 

 

 

あらすじ

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https://www.tbs.co.jp/apoyan/より

舞台は日本の空の玄関口成田国際空港伊藤淳史さん演じる主人公が、JALパックの本社より空港事務所への異動を命じられ、様々なお客様のトラブルを解決していく物語です。

空港事務所の人数不足に対して、代役が来るまでのつなぎとしての辞令と聞いていた主人公は、すぐに本社に戻れると軽い気持ちで取り組んでいるのですが、空港事務所の仲間、上司とともに少しずつあぽやんの仕事とは何か?に気づき始めます。

 

ドラマタイトルの「あぽやん」とは、空港の旅行会社カウンターでお客様のトラブル(二重予約、ノーショー、国内線接続遅延など)を解決する旅行会社のスタッフのことです。

エアポートの略の、「あぽ」に人を意味する「やん」がついたのだそうです。

業界用語なので一般の方には馴染み無いも知れませんが、空港や飛行機のファンの方はご存じの方がいらっしゃるかも知れませんね。

 

より楽しめる予備知識 

このドラマを楽しむにあたっての事前知識は特に必要ありませんが、私からの補足を少しします。

 

旅行会社JALパックについて

今回のドラマではJALパックが旅行会社として扱われます。

成田空港にあるJALパックのカウンターは、申込みをしたお客様が最初に受付をする場所なので、旅行の申込みや変更などは出来ません。

 

では、どこで申込みをするのかというと、WEBサイトや、全国の旅行会社の窓口です。

JAL国内・海外旅行・航空券&ホテル予約はJALパック - JAL国内ツアー・海外ツアー

 

JALパックは自社の旅行販売店は東京・有楽町の1店舗のみですが、全国の旅行会社に商品を販売して貰う形です。いわゆる、企画実施はJALパックで受託販売がJTBやHISといった旅行会社の店舗となります。

卸売りのような営業体系のため、業界内ではホールセラーと呼ばれています。

 

企画実施と受託販売店の関係についてはこちらもご覧ください。

tabiodori.hatenablog.com

 

JALパックと販売店の関係

売店JALパックの商品を販売するため、お客様の対応は各販売店が責任を持って行うことになります。例えば、JALパックの商品内容についての質問事項があれば、それは販売店からJALパック側に問い合わせて回答をもらいます。

つまり、お客様とJALパックの間を、申込窓口として旅行会社が仲介している形です。

そのため、JALパックはお客様接点を直接持てませんが、その手前の販売店に様々な情報提供を行います。

ドラマ内では、飛行機の並び席じゃないことにお怒りのお客様がいらっしゃるのですが、パンフレットに追加料金にて並び席確約と記載のあるコースだとお客様が事前にご存じなかったようです。

以下はJALパックパンフレットの座席についての一例です。

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https://pamph.jalpak.co.jp/intltour/search/book5/14009/top.htmlより

確かにパンフレット記載の条件を見逃したお客様にも責任はあるかも知れません。

そういう条件ですと記載されたコースを申込み(=契約)されたのですから。

しかし、こういった見落としが無いように注意しなければならないのが、販売店であり、こういった注意点があると販売店に情報提供をするのは、JALパックなのです。

 

JALパックとJALの関係

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA日本航空内より

ドラマ内ではJALのカウンターも出てくるのですが、JALのカウンターの人は、JALパックのカウンターの人よりも立場が上のような話しぶりをします。

これは、同じJALグループでも業務が異なるためです。

航空会社のJALはお客様を安全に目的地へ運航することが最大の業務です。

一方、JALパックはJALの飛行機の座席を仕入れ、仕入れた座席を使ってツアーを作り、お客様をJALに乗せてもらう立場です。

そのため、JALパックはJALの定時運行に協力するため、集合時間を定め、ノーショー(予約があるのにカウンターに来られない)の人がいないようにお客様に連絡をとったり、ディレイ(地方から成田までの国内線接続便の遅延)に対応して、国際線の振り替えを依頼したりします。

ドラマ内の両者間でのやりとりは、少しやり過ぎな気もしますが、こういう関係だと事前に知っておくとより楽しめると思います。

 

ドラマ撮影時のJAL機材

今のJALの機材は鶴丸の塗装が多くを占めていますが、ドラマが公開された2013年頃はまだ鶴丸塗装機は少なく、太陽のアークと呼ばれる以前の塗装機が多く見られます。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA日本航空内より

塗装が明確に分かれた時期はあまり詳しく無いのですが、飛行機好きの方にとっては、ちらちら見られる沢山の旧式塗装機に心躍るかもしれません。

 

 

旅行会社で働く者としての感想

 私は販売店の立場にあるので、ドラマ内で起きるトラブルをむしろ引き起こしている原因側とも言えます。

そのため、私が気をつけなければあぽやんに迷惑をかけますし、何よりも旅行を楽しみにしているお客様に迷惑をかけてしまいます。

お客様が空港でトラブルに遭ったときの困りよう、怒りようをドラマを通して見ることで、日々の自分の仕事を見つめ直さなければと思いました。

ドラマの第一話では沢山のトラブルがありました。

飛行機の座席が並び席じゃない、パスポートの残存期間が足りない、パスポートを自宅に忘れてしまったなど、たった1つの誤った案内がお客様の期待を裏切り、楽しい旅行を台無しにしてしまうことの恐ろしさを改めて考えさせられます。

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フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)より

 

 

あくまでもフィクションなので、一部やりとりに疑問はありますが、詳しい人間だからと揚げ足をとるような見方をしていては楽しめません。

 

あぽやんはまっすぐにお客様と向き合うサービス業の苦労と、その楽しみが詰め込まれたヒューマンドラマです。

興味が出てきた方はぜひご覧になってみてください!

 

『あぽやん~走る国際空港』は現在Huluにて全話公開中です!

 Huluのお得な申込み方法についてはこちらをどうぞ

tabiodori.hatenablog.com

 

 最後までお読みいただきありがとうございました!