※2020年4月14日公開の過去記事を元に、大幅加筆・修正したものです。
旅行会社で予約するのと、個人で予約するのはどっちがお得なの?
このテーマは大変興味深く、旅行好きの皆様の常に関心のあるテーマだと思います。
結論から申し上げるなら、インターネット予約の方がお得といって良いでしょう。
しかし、何をもって「お得」と判断するか?は良く検証する必要があると思います。
WEB予約がお得な理由は?なぜ、WEB予約がお得なのか?
その理由を考えてみましょう。
価格でWEBが有利な理由
そもそもWEB予約がお得な理由は何でしょうか?
それは、人件費がかからないからです。
旅行業では、売上額に対して営業利益が極端に落ちます。
これは、販売に対してかかる人件費や仕入れ額といった経費が多くかかるからです。
特に人件費は馬鹿になりません。
1つの企画商品を作るにも、企画立案、関係機関との交渉、パンフレットの作成・印刷・納入、発送と経てやっと店舗に到着します。
その後、店舗では販売、チケットの手交に大量の書面の印刷・発行が必要になり、契約内容の説明に時間もかかります。
旅行終了後は、宿泊施設への送客実績に応じて精算を行います。
これをたった一人のスタッフがやっているととてもやっていけませんので、たいていは部門毎に分業しています。
つまり、1つの旅行を販売するだけでも多くの人手がかかっているのです。
他の業界でも分業して1つの製品・サービスに多くの人が関わっているのは同じですが、旅行業は特に人件費が主に経費を圧迫しています。
数字で見る旅行業の経費の多さ
いかに経費が多くかかっているかは、旅行会社の決算報告書を見るとわかります。
販売額トップのJTBは1兆円もの売り上げがありながらも、営業利益率はその1%前後しかありません。
日本旅行やHISも約2%程ですので、旅行業界そのものが販売額に対して多くの経費がかかっている業態だとわかります。
他業種はどうか?と私が調べたある企業では、鉄道会社(売上高3兆円)で約15%、製造業(売上高4兆5千億円)で5~6%、飲食業(売上高6千億円)で2%でした。
他の業種を全て比較したわけではありませんが、旅行会社がいかに販売管理費がかかっているかわかります。
一方、WEB予約の旅行会社はどうでしょう?
ヤフートラベルを運営する一休.comの親会社Zホールディングスの売上高を見てみましょう。
2019年の売り上げは約1兆円で、営業利益率は14.5%です。
Zホールディングスはヤフー系サービスの親会社ですので、ヤフートラベルだけの数字ではありません。そのため、比較条件に適するか判断しかねますが、WEBを起点としたサービスは経費が少なく、営業利益率の高さを意味するに変わりないでしょう。
また、経費がおさえられていることで会社の収益性が高くなります。
収益が多く残せる会社は、従業員の給料に反映するか、新たな設備投資にするか、はたまた消費者へ還元するのか、それをどう使うおうとも経営判断の上で自由です。
価格を抑えても、しっかりと収益を残せる体制が整っているからこそ、商品価格を抑えたり、高額ポイントを消費者へ還元をすることでWEB販売の旅行会社は価格面で優位を保てます。
ヤフートラベルの高還元率のからくりはここにあるのでしょうね。
実店舗を多く抱える従来の旅行会社は、この体制に追いつけない限り価格面で勝負してもいずれじり貧になるので、価格勝負は絶対にしてはいけないと思います。
安い=お得は一般論か?
Zホールディングスの例から、WEB販売の旅行会社は人件費が少ないので、 価格を抑えられると分析できました。
少し視点を変えて、価格の安さは=「お得」か考えましょう。
私が提案したいのは、費用に見合った分の手間を省けているか?です。
価格の安さをお得と感じるのは、お金が損得の価値判断になっているからです。
例えば、多忙なビジネスマンにとっては、多少割高になっても旅行会社に依頼することで本来の業務に集中出来るならお得と感じることもあるでしょう。
いわゆる、時間を金で買うです。
他にも、旅行会社が貸し切りで運行する観光列車や、飛行機を利用するツアーは時にその希少性からある意味お得だと言えます。
鉄道利用のツアーでは、営業運転から一線を引いた旧型車両や、寝台列車を利用した、その列車そのものを楽しめることに価値を見いだせます。
JR東日本のクルーズトレイン四季島で北海道を回るツアーに乗車した鉄道YouTuberのスーツさんは、「四季島に乗ることの価値は現在は旅客が通ることの出来ない津軽海峡線を通ることが出来ること」と動画内で話されていました。
【150万円】トランスイート四季島 乗車記② 青函トンネルを抜けて北海道へ!【1906四季島2】日光駅→函館駅 6/18-02
なぜ希少な体験かというと、動画内でも触れていますが、北海道新幹線の開業にあわせて、青森から函館へ行く線路は、旅客は新幹線しかなくなり、在来線の津軽海峡線は利用出来なくなったからです。
旅行代金は150万円と決して安価ではありません。しかし、スーツさんにとっては通常では絶対に不可能な体験を出来るなら安いと言い切っていました。
飛行機利用のツアーであれば、地方空港から本来直行便が無い地域へチャーター便を利用するツアーがあります。
もちろん、チャーター便利用の旅行代金は少し割高だと思います。
しかし、空港での乗り継ぎの手間や時間を削減出来ることや、最寄りの空港からは本来行きにくい方面への旅行がしやすくなるのは大きなメリットです。
こうしたツアーは地方と地方をつなぐ路線に強いフジドリームエアライン(FDA)が多く手がけている印象がありますね。
旅行会社を利用すべき理由とは?
ここまでの考察を踏まえ、私が考えた旅行会社を使うべき理由は2つです。
・旅行会社の企画した特別なツアーを利用する場合。
四季島を例に述べたような、旅行会社のツアーに参加することで、貴重な体験を買うことは旅行会社を利用する理由の1つになるでしょう。
・旅行の計画にかかる手間暇をかけたくない場合。
旅行会社では宿泊、交通手段など旅行全体のトータルコーディネイトをしてくれるので大まかな希望を伝えれば形になります。
ただし、丸投げはかえって逆効果です。出発日、旅行期間、参加人数、どこに行くかの候補、旅行の目的、こだわり条件は決めておきましょう。
これらが決まっていない旅行は、選択肢がありすぎて形になりませんので、見積もりも行程も作れません。
逆に、徹底的に旅行代金を抑えたい場合は、旅行会社を利用すべきではありません。
特に、旅行会社の店舗を利用するのは、時間もお金ももったいないです。
安く旅行を済ませるなら、人件費が抑えられた分旅行代金も安く設定されているWEB予約一択です。
ご年配の方やスマホが不慣れな方でも、普段はネット予約してるけど今回はお店を使うと来店される方がいらっしゃいますが、非常にうまく旅行されているなと思います。
最後に
今回、WEB利用がお得な理由を数字で分析し、ネット予約がお得な理由を考察したことで私も自信をもって、価格重視ならWEB予約がオススメだと言えるようになりました。
それでも、旅行会社の実店舗は一定数残り、ネット環境が無い方や、複雑な旅行などの相談窓口として必要とされるでしょう。
特にご年配の方や、旅行慣れしていない方からは、旅行会社で顔を合わせての予約は安心だという声もありますが、それだけでは旅行会社の店舗を利用して貰う理由には弱いと思います。
過去記事では、旅行会社は「安心」について書いてます。合わせてどうぞ!
今回の解説が旅行者にも、旅行業者にも何か新しい発見があれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
安く旅行をするならヤフートラベルがオススメです。
旅行会社についての解説は他にもありますのであわせてお読みください